没分
ぼつぶん
名詞
標準
文例 · 用例
「へえ、そのなんでございますか、旦那、その弁護士というやつは出刃打ちの肩を持って、人殺しの罪を女に誣ろうという姦計なんでございますか」 弁者は渠の没分暁を笑いて、「何も姦計だの、肩を持つの、というわけではない。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
それを知らなければ畢竟無理解|没分暁の親爺たる事を免れ難いかもしれない。
— 寺田寅彦 『相対性原理側面観』 青空文庫
人間を理解し人間を向上させるためには、盲目的に嘆美してはならないし、没分暁に非難してもならないと同様に、一つの学説を理解するためには、その短所を認める事が必要であると同時に、そのためにせっかくの長所を見のがしてはならない。
— 寺田寅彦 『相対性原理側面観』 青空文庫
性格が分裂して徹底した没分暁漢になれなくなるから。
— 寺田寅彦 『田園雑感』 青空文庫
私は没分暁漢の一巡査であるが、生理学教室に雛を祭ることにおいて、一石橋の朧月一片の情趣を会得した甲斐に、緋緘の鎧の袖に山桜の意気の羨しさに堪えんで。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
と言い募るに得三は赫として、「ここな、没分暁漢。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
然るに、あれだけの大災に予知が出来無かつたの、測震器なんぞは玩器同様な物であつたのと難ずるのは、余りに没分暁漢の言である。
— 幸田露伴 『震は亨る』 青空文庫
午前中二時間は厚狭裏町行乞、午後の二時間はまた船木町行乞、時々気分がみだれた、没分暁な奥様、深切なおかみさん、等、等。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫