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片脇

かたわき
名詞
1
標準
文例 · 用例
吉田はその話相手に捕まっているのが自分なので体裁の悪さに途方に暮れながら、その女を促して道の片脇へ寄せたのであったが、女はその間も他へ注意をそらさず、さっきの「教会へぜひ来てくれ」という話を急にまた、「自分は今からそこへ帰るのだからぜひ一緒に来てくれ」という話に進めかかっていた。
梶井基次郎 のんきな患者 青空文庫
何、……紡績らしい絣の一枚着に、めりんす友染と、繻子の幅狭な帯をお太鼓に、上から紐でしめて、褪せた桃色の襷掛け……などと言うより、腕露呈に、肱を一杯に張って、片脇に盥を抱えた……と言う方が早い。
泉鏡花 夫人利生記 青空文庫
「……わ……われが斬ったか……与一……」 与一はその片脇にベッタリと座りながら無造作に一つうなずいた。
夢野久作 名君忠之 青空文庫
私はそうした気持ちを一所懸命に我慢しいしい一種の責任観念みたようなものに囚われながら戸棚の中を覗いて行ったが、そのうちにヤットの思いで一通り見てしまって、以前の大|卓子の片脇に出て来ると、思わずホッと安心の溜息をした。
夢野久作 ドグラ・マグラ 青空文庫
そのあとから呉一郎も鍬を片手に、片脇には最初の犠牲、浅田シノの死骸を軽々と引き抱えつつ、女王姿の狂女に一礼して流血|淋漓たる場内を出で、悠々と自分の病室、七号室に帰って行ったが、皆手を束ねて戦慄しつつ遠くから傍観するばかりであったという。
夢野久作 ドグラ・マグラ 青空文庫
宮子は片脇にクションを抱き込むと、突然大きな声で笑い出した。
横光利一 上海 青空文庫
その霞を衝いて、夢うつゝのなかにれきろくたる轍の音を耳にしながら微かな彼女の重味を片脇に感じて手綱を執つてゐる小生の魂は、車もろともふわ/\と天上して、一切の地上にある概念を忘れ果てました。
牧野信一 女優 青空文庫
もう一枚の写真は蹴球を片脇に抱へた彼が、ヘルメットをぬいで片手を頭上高く掲げてゐた。
牧野信一 サクラの花びら 青空文庫