温厚篤実
おんこうとくじつ
名詞形容動詞
標準
having a gentle and sincere personality
文例 · 用例
蕪村は極めて温厚篤実の人であった。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
それはとにかく、この老人はこの煙管と灰吹のおかげで、ついぞ家族を殴打したこともなく、また他の器物を打毀すこともなく温厚篤実な有徳の紳士として生涯を終ったようである。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
それは温厚篤実をもって聞こえた人で世間ではだれ一人非難するもののないほどまじめな親切な老人であって、そうして朝晩に一度ずつ神棚の前に礼拝し、はるかに皇城の空を伏しおがまないと気の済まない人であった。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
東湖その他の水戸学者の稜々たる野性ぶりとは違つて、温厚篤実、心の底からの学者肌の人であつた。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫
若し斯くの如き紹介状を享くる人が、温厚篤実にして万中庸を尚ぶ世上の士君子、例へば我が校長田島氏の如きであつたら、恐らく見もせぬうちから玄関に立つ人を前門の虎と心得て、いざ狼の立塞がぬ間にと、草履片足で裏門から逃げ出さぬとも限らない。
— 石川啄木 『雲は天才である』 青空文庫
これはなるほど出世の早さうな温厚篤実な劇評家であつたと私はちよつと愉快であつた。
— 岸田國士 『文化勲章に就て』 青空文庫
桜の花の咲く時分で戦争前、本所に「友釣会」というのがあって、温厚篤実なる石田初太郎さんが会長をしていた。
— 三遊亭金馬 『江戸前の釣り』 青空文庫
」 ふだん口数の少い、しかも温厚篤実を以て聞えた閔子騫の言葉にしては、それは思いきった言葉であった。
— 下村湖人 『論語物語』 青空文庫