一攫
いっかく
名詞
標準
文例 · 用例
ただ一攫みなりけるが、船の中に落つると斉しく、礫打った水の輪のように舞って、花は、鶴の羽のごとく舳にまで咲きこぼれる。
— 泉鏡花 『妖術』 青空文庫
――そこで、心得のある、ここの主人をはじめ、いつもころがり込んでいる、なかまが二人、一人は検定試験を十年来落第の中老の才子で、近頃はただ一攫千金の投機を狙っています。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
……我人ともに年中|螻では不可ません、一攫千金、お茶の子の朝飯前という……次は、」 と細字に認めた行燈をくるりと廻す。
— 泉鏡花 『露肆』 青空文庫
「わし此らあ、蜀黍伐つて引つ懸けべと思つたんでがす」「うむ、此の粒の零れたのはどうしたんだ、蜀黍なんだらう此れは」「へえ、なに、わしが一攫み引つ扱いて來て見たの打棄つたんでがした」勘次は恁ういつて蒼く成つた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
又そつと戸を閉てゝ出る時頸筋の髮の毛をこそつぱい手で一攫みにされるやうに感じた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
大豆は庭に運ぶと共に一攫みにしては根を上にして先を丸く開いて互の幹が支柱に成るやうにして庭一|杯に立てゝ干した。
— 長塚節 『土』 青空文庫
内地や北海道の資本家が、一攫千金の見込みで、おの/\數千、數萬金を投じ、數百人、數千人の人を使つて、漁業をやつた。
— 斷橋 『泡鳴五部作』 青空文庫
そして抹香を一攫みに攫んで投げ入れると一拝して帰って仕舞った。
— 菊池寛 『桶狭間合戦』 青空文庫