編み
あみ
名詞
標準
文例 · 用例
テムポ正しき散歩をなして麦稈真田を敬虔に編み――まるでこれでは、玩具の兵隊、まるでこれでは、毎日、日曜。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
神よ、しかしそれがよく編みなされてゐればゐる程、破れる時には却て速かに乱離することを知つてをります。
— 小林秀雄に 『我が祈り』 青空文庫
「汝の手我を営み我を悉く作れり、しかるに汝今われを滅し給う也」と八節はいい、九節は八節の反覆というべく、また十節―十二節は「汝は我を乳の如く斟ぎ牛酪の如くに固め給いしに非ずや、汝は皮と肉とを我に着せ骨と筋とをもて我を編み、生命と恩恵とを我に授け我を顧みてわが息を守り給えり」という。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
このごろは雨が陰気に降りつづいて、何をするにも、もの憂くて、きょうはお座敷の縁側に籐椅子を持ち出し、ことしの春にいちど編みかけてそのままにしていたセエタを、また編みつづけてみる気になったのである。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫
それを、ことしの春、死蔵品の復活とやらいう意味で、ときほぐして私のセエタにしようと思ってとりかかってみたのだが、どうも、このぼやけたような色合いが気に入らず、また打ちすて、きょうはあまりに所在ないまま、ふと取り出して、のろのろと編みつづけてみたのだ。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫
その日も私は、別に編みたい気持も無かったのだが、お母さまの傍にべったりくっついていても不自然でないように、恰好をつけるために、毛糸の箱を持ち出して余念無げに編物をはじめたのだ。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫
しかしまた他の半面の考え方によれば、科学者の知識は「物自身」の知識ではなくて科学者の頭脳から編み上げた製作物とも云われる。
— 寺田寅彦 『科学上の骨董趣味と温故知新』 青空文庫
批評家自身の芸術観から編み上げた至美至高の理想を詳細に且つ熱烈に叙述した後に、結論としてただ一言「それ故にこれらの眼前の作品は一つも物になっていない」と断定するのもある。
— 寺田寅彦 『帝展を見ざるの記』 青空文庫