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逃去

とうきょ
名詞
1
標準
文例 · 用例
其|剣幕に驚きまどひて予も慌たゞしく逃出だし、只見れば犬は何やらむ口に銜へて躍り狂ふ、こは怪し口に銜へたるは一尾の魚なり、そも何ぞと見むと欲して近寄れば、獲物を奪ふとや思ひけむ、犬は逸散に逃去りぬ。
泉鏡花 妖怪年代記 青空文庫
すは津波こそ、はや逃げよ、と老若男女われさきにと逃迷ひしかど、しばしが間に打寄て、民屋田畑草木禽獣まで少しも残らず海底のみくづと成れば、生残る人民、海辺の村里には一人もなし、扨こそ初に神々の雲中を飛行し給ひけるは此大変ある事をしろしめして此地を逃去り給ひしなるべしといひ合て恐れ侍りぬと語りぬ。
太宰治 津軽 青空文庫
丁度此時、一度逃去つたる猛獸は、再び其處此處の森林から現はれて來たが、つる/\と空中に、昇つて行く吾等の姿を見て、一種異樣に咆哮した。
押川春浪 海島冐檢奇譚 海底軍艦 青空文庫
栗うりの童は、逸足出して逃去り、学生らしき男は、欠びしつつ狗を叱し、女の子は呆れて打守りたり。
森鴎外 うたかたの記 青空文庫
法海和尚は「今は老朽ちて、験あるべくもおぼえ侍らねど、君が家の災を黙してやあらん」と云って芥子の香のしみた袈裟を執りだして、「畜をやすくすかしよせて、これをもて頭に打被け、力を出して押しふせ給え、手弱くあらばおそらくは逃去らん」と云った。
雷峯怪蹟 蛇性の婬 青空文庫
甚だしきに至ては逃去て来た後の兵庫奉行になった人さえあって、名義上の奉行だけは此方に出来て居る。
福翁自伝 福翁自伝 青空文庫
の肥満った男、その男に魔睡薬を用いて逃去ったあの令嬢と老婦人、そう考えてくると私には薩張り訳が分らなくなる。
松本泰 日蔭の街 青空文庫
私は不意の出来事に気も顛倒して逃去ったのです」「待って下さい。
松本泰 P丘の殺人事件 青空文庫