幕命
ばくめい
名詞
標準
文例 · 用例
幕命によつて江戸へ米を廻漕するのは好い。
— 森鴎外 『大塩平八郎』 青空文庫
隣国の熊本藩、佐賀藩では急を聞いて援軍各々数千を国境にまで出したが、国境以外は幕命がなければ兵を進めることは法度である。
— 菊池寛 『島原の乱』 青空文庫
始め幕命を受けて直ちに板倉重昌江戸を出発した時、柳生但馬守宗矩、折柄有馬玄頭邸で能楽を見物して居たが、この由を耳にするや、席を外して出で、馬に乗って重昌の後を追った。
— 菊池寛 『島原の乱』 青空文庫
正月の二十六日、田沼侯は幕命を金沢藩に伝えて、押収の武器一切を受け取り、二十八日には武田以下浪士全員の引き取りを言い渡した。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
お説に従い、身命を賭して、努力仕ります」 幕命を受けて、海軍のこと、造船のこと、国防のことを聞きに来た勝安房は、斉彬の熱誠と、知識とに、身体を固くして顫えながら、今の日本の危機を感じ、自分の責任の重さを感じ、それから、斉彬の存在に安心して、心の底からの、畏敬の、挨拶をした。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
しかし、当時の世子はまだ若くもあり、幕命により奔走もしていられたが、一方には文武の修業をせられつつあった。
— 内藤鳴雪 『鳴雪自叙伝』 青空文庫
それは幕命に依つて日光三代の廟へ運搬すべき石段であつた。
— 阪井久良伎 『眞間名所』 青空文庫
そのうちに水戸様不取締りとあって五月二十八日、幕命を以て天狗方の御家老武田伊賀守隠居謹慎、六月一日、同じく岡田国老をも隠居させ、諸生組の頭棟朝比奈、市川、佐藤を執権に据えは据えたが、天狗は筑波でやっぱりあばれる。
— 三好十郎 『斬られの仙太』 青空文庫