引き移し
ひきうつし
名詞
標準
文例 · 用例
其|上、野々宮さんが一家の主人から、後戻りをして、再び純書生と同様な生活状態に復するのは、取も直さず家族制度から一歩遠退いたと同じ事で、自分に取つては、目前の疑惑を少し長距離へ引き移した様な好都合にもなる。
— 夏目金之助 『三四郎』 青空文庫
そのうえ、野々宮さんが一家の主人から、あともどりをして、ふたたび純書生と同様な生活状態に復するのは、とりもなおさず家族制度から一歩遠のいたと同じことで、自分にとっては、目前の迷惑を少し長距離へ引き移したような好都合にもなる。
— 夏目漱石 『三四郎』 青空文庫
そして彼は彼の当時教えられた大陸の思想を、周辺の現実に引き移して、如上の数々の歌を詠出したものとも想像している。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
恐らく土地の人はコブシと呼んでいたのを、コクシの訛と誤認した結果、甲信界の国師岳を無造作に甲信武三国の境に引き移して了ったのではあるまいか。
— 木暮理太郎 『秩父の奥山』 青空文庫
舞鶴の新造は、その結果、別に一軒の家を借りて、千浪をそこへ引き移した。
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫
この店は馬喰町四丁目でしたが、後には小伝馬町へ引移して、飾提灯即ち盆提灯や鬼灯提燈を造った。
— 淡島寒月 『江戸か東京か』 青空文庫
とは申せその底には容易ならぬ気配も動いておりますし、桃花坊はその夜の合戦の場より隔たっておりませんので、すぐさま御家財|御衣裳の御引移しが始まります。
— 神西清 『雪の宿り』 青空文庫
とは申せその底には容易ならぬ気配も動いてをりますし、桃花坊はその夜の合戦の場より隔たつてをりませんので、すぐさま御家財|御衣裳の御引移しが始まります。
— 神西清 『雪の宿り』 青空文庫