顔利
かおり
名詞
標準
文例 · 用例
お袋の口ではこの界隈で顔利きの親父が、帳場にでも坐っていてくれなければ、一日もこんな商売がして行かれないということであった。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
顔利であった伯父の名が、世話になったことのあるその男を反対に彼女の味方にして了うことができた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
「私は東京から、あの人に少し用事があって来たものですが、お話の様子では、あの人があの山のなかで何か災難にでも逢ったと云うのでしょうか」 遊女屋の主人か、芸者町の顔利かと云うような、それらの人たちは、みんなお島の方へその目を注いだ。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
お島を懲しておかなければならぬような報告が、この数日のあいだに養家から交渉に来た二三の顔利きの口から、父親の耳へも入っていた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
間違ヘやうもない、新聞の婦人欄でよく見覚えのある関西婦人――協会の幹事で、こちらの婦人界では顔利きの一人でした。
— 薄田泣菫 『黒猫』 青空文庫
この秘書はまた顔利きであったのか楽屋へはいって見ましょうと言うので、それをみせてもらうことになった。
— ――中支遊記―― 『余齢初旅』 青空文庫
歸れば、彼等の多くはその地方の舊家や顏利きの家の出で、彼等はそこで何とか恰好がつき、「堅實な」民間指導者層を形づくることになる。
— 島木健作 『生活の探求』 青空文庫
町内の顏利きではあるだらうが、ケチで勝手で弱いものいぢめで――」「でも逢つて見ると世辭の良い、人ざはりの惡くねえ男ですよ」「一杯呑まされたわけぢやあるめえな、八」「冗談言つちやいけません。
— 屠蘇の杯 『錢形平次捕物控』 青空文庫