麝香草
じゃこうそう
名詞
標準
文例 · 用例
……鳶尾根末、亜鉛華、麝香草、羊脂、魚膠、雷丸油、疱瘡で死んだ嬰児の脳漿、それを練り合わせた塗抹剤……お着けすることに致しましょう」 髪を梳る音がした。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
快き静けさよ、かなたの梢に小鳥の高音……近き涼風の中に立麝香草の香り……わが心は宮の中に見たるルイ王とナポレオン皇帝との華麗と豪奢とに酔ひつつあり。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
麝香草の香い 諸地の山中にはジャコウソウと称する宿根草があって、クチビルバナ科に属し、夏に淡紅紫色の大形の唇形花を茎梢葉腋の短き聚繖梗にひらき、茎は叢生直立し方形で高さ三尺内外もあり、葉は闊くして尖り対生する。
— 牧野富太郎 『植物一日一題』 青空文庫
同じく小野蘭山口授の『本草|訳説』(内題は『本草綱目訳説』)には「恕菴[牧野いう、松岡恕菴]先生秘説(蘭品)ニハ山海経ノ薫草ヲ和ニ麝香草ト称ルモノニ充ツ未的切ナラズ麝香草ハ生ニテ動揺スレバ香気アリ乾セバ香気ナシ漢名麝草(王氏彙宛)」と出ている。
— 牧野富太郎 『植物一日一題』 青空文庫
花咲く牧場であり、緑の草であり、百里香や麝香草や鼠尾草であり、小鳥であり、家畜であり、夕方満足の声を立てる大きな牛であり、かおり高い秣であり、金色の麦であり、食卓の上のパンであり、人の血管を流るるあたたかい血液であり、健康であり、喜悦であり、生命である。
— LES MISERABLES 『レ・ミゼラブル』 青空文庫
千八百米附近から伊吹麝香草、深山茴香、大葉黄菫、高根薔薇、姫石楠、四葉塩竈、高根撫子、深山沙参、白根人参、真柏などがつぎつぎと目に入る、立派なお花畑である。
— 木暮理太郎 『利根川水源地の山々』 青空文庫
高根薔薇の艶麗、高根|撫子の可憐、黄花石楠の清楚に加えて、伊吹麝香草、車百合、千島桔梗などが現われ、少し岩の露出した所には、姿のいい真柏や唐松などが生えている。
— 木暮理太郎 『北岳と朝日岳』 青空文庫
麝香草や薄荷や薔薇の咲き乱れた花壇が彼方此方に設けられ、そして甃の両側には、緑の街路樹が眼路の限りに打ち続き、その葉陰に真っ白な壁、磨き上げたような円柱、階高く整然と碧赭青の甍とりどりに、家々が遥かの坂の上まで続いていた。
— 橘外男 『ウニデス潮流の彼方』 青空文庫