破帽
はぼう
名詞
標準
文例 · 用例
弊衣破帽の学生さんが、学士の免状を貰った日に馬車が迎えに来た時代の灰色の昔の夢物語に過ぎない。
— 寺田寅彦 『学位について』 青空文庫
しかしその言の通りにすると、蓑を着よ、そのようなその羅紗の、毛くさい破帽子などは脱いで、菅笠を被れという。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
謂わば、弊衣破帽である。
— 太宰治 『デカダン抗議』 青空文庫
破帽をあみだにかぶり直して歌舞伎座、一幕見席の入口に吸いこまれた。
— 太宰治 『狂言の神』 青空文庫
昔者カーライル、弊衣を着、破帽をいたゞいて、一日馬車を竜動街頭に駆る。
— 石川啄木 『閑天地』 青空文庫
当時、何ういうのか、美少年を愛する事が、中学で流行していたので、破帽破靴の風は、豪健と見るや、わざわざ破る者さえ出来たので、私は、ますます平気になって可成り、先生から注意された事もあった。
— 直木三十五 『死までを語る』 青空文庫
今の学生は一面から云えば寧ろ社会的に一人前になっていて、表面上は世間並みの人間と昔程の相違を有っていないが、それは実はそれだけ学生が社会に同化しなければならない弱みを意味するので、彼等がすでにその弊衣破帽式生活に自信を失って了った証拠なのである。
— 戸坂潤 『思想と風俗』 青空文庫
高邁な思念は弊衣破帽にしか宿らぬと断じたのはまだよいとして、茶の湯や活け花が有閑の手すさびに堕し、何々至上主義といふやうな夢遊病的人生観の横行を新しい世代は歓迎した。
— 岸田國士 『妻の日記』 青空文庫