釣り箱
つりばこ
名詞
標準
文例 · 用例
まだ十五代目羽左衛門丈が存命のころ、伊豆山の「樋口」という宿が同じで、釣り箱の氷の中から取り出した釣りたての生きのよい、腹に卵のいっぱいはいっているワカサギを焼いて食べてもらったが、「実にうめえなあ」と喜んでくれた。
— 三遊亭金馬 『江戸前の釣り』 青空文庫
弁当箱ぐらいの釣り箱で、この釣り箱も、昔、深川猿江の「桶金」というのがタガなしで有名であった。
— 三遊亭金馬 『江戸前の釣り』 青空文庫
競技会の前日に釣ったか買ったフナを、あるところへ生かして置き、人の見ていないときに出して、自分の釣り箱へ入れたのがあとでばれて失格になり、その人は会から抜けて、いつしか姿を消してしまった。
— 三遊亭金馬 『江戸前の釣り』 青空文庫
そばに土地の子供が遊んでいたので、「坊や、すまないがこれを取ってくれないか」 と、いうと、何でもないような顔で針を放して、釣り箱に入れてくれた。
— 三遊亭金馬 『江戸前の釣り』 青空文庫
「おじさんはそれは嫌いだから、出してどこかへ捨てておくれ」 と、いうと、釣り箱からつかみ出し、尻尾を持って逆さにぶらさげたりして、ほかの子供と遊んでいた。
— 三遊亭金馬 『江戸前の釣り』 青空文庫
どんな釣り箱に入れておいても、少しのすき間からでも逃げ出して、船のコベリへはいあがって海へザブンと身投げをする。
— 三遊亭金馬 『江戸前の釣り』 青空文庫
こいつをひとつ釣ってやろうと、釣り箱から仕かけを取り出し、道糸はナイロンの一厘に、針は袖型の二厘、餌は食膳にある自分と同じ油あげの焼きたて、大根おろしをつけて――鼠に大根おろしはつけないが――油あげをこまかく切って針につけ、道糸に鈴をつけて、一杯飲んでいると、かすかにチリチリと動く。
— 三遊亭金馬 『江戸前の釣り』 青空文庫