落ち穂
おちぼ
名詞
標準
文例 · 用例
また戦線の夜の野原の中を四つんばいになってしかも目かくしされたままで手探りで遺利を拾得しようとしている「落ち穂拾い」にもこれは足しにならない。
— 寺田寅彦 『ルクレチウスと科学』 青空文庫
「落ち穂なんか、孩子どもに拾わせたっていいのだから、無理しねえで、休んでればいいんですのに、爺つあんは……」とおもんは繰り返した。
— 佐左木俊郎 『山茶花』 青空文庫
せっかくとったの……」「落ち穂ぐれえ喰ったって。
— 佐左木俊郎 『山茶花』 青空文庫
僕はメリメエの書簡集の中に彼の落ち穂を見出した時、しみじみかう感ぜずにはゐられなかつた。
— 芥川龍之介 『文芸的な、余りに文芸的な』 青空文庫
平野にぽつぽつと立っている荒涼とした灰色の塔の、感傷的な鐘の音の響きがなければ、あるいは、落ち穂拾いの束やたきぎの束を抱えた人が何人か荒野を横切り、絵のような趣を添えなければ、どこも代わり映えせず、単調で、美しくもありませんでした。
— A Dog of Flanders 『フランダースの犬』 青空文庫
落ち穂拾いのように写真を撮って。
— 片岡義男 『ラハイナまで来た理由』 青空文庫
彼の友人に、日本人の写真家がいて、いまこの島に来ていて、昔のこの島の残り香を、写真に撮影しては、落ち穂拾いみたいに拾い集めている男性がいると言っていた。
— 片岡義男 『時差のないふたつの島』 青空文庫
いまさら落ち穂拾いをしても、どうなるものでもないですよ」「わかりました」「日比谷さんはこれから何度も中野さんに会うでしょうから、無理なくチャンスが作れるときがあったら、私も中野さんに会わせてください。
— 片岡義男 『道順は彼女に訊く』 青空文庫