犒
犒
名詞
標準
文例 · 用例
尋で使を肥前名護屋に遣はし、秀吉の陣を犒ひ、三年正月には従四位下右京大夫となり、慶長五年関ヶ原の役には、兵を出して徳川家康の軍に従ひ、西上して大垣に戦ひ、上野国大館二千石を加増す。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
旧藩閥の明治の功傑たちは、新政府に従順だつた幕府方の旧権臣の家門を犒ふ意味から、その後嗣者を官吏として取り立てた。
— 岡本かの子 『過去世』 青空文庫
冬ごもり時しも、旨飯を水に醸みなし客を犒う待酒の新酒の味はよろしかった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
すると、山はまず春だね」 もう行く先は眼の下に見えていますので、私たちは案内者の老人を犒い、私たちが徒歩で出発した箕輪の駅へ、こゝから帰してやりました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
私はこの宿へ二十年も馴染なのです」 葛岡はと言うと、私たちがこの宿へ入って来てから先生がわたくしにかまけ切ってばかりいるのを見て、結局その方が気楽とでもいうように勝手に褞袍に着換えたり、宿のおかみさんが持出した安ビスケットや山独活の漬ものを撮んだり、コヽアを飲んだり、一人で自分の身を犒っています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
「そのくらい勝手をおしのおまえさんなら、また、そのくらいの工夫の出来ないおまえさんでもあるまいじゃないか」 わたくしが湯に入っていると、各所の停車場へわたくしを捉える張番に行ってたらしい近所の出入りの若者たちがぽつ/\戻って来て、嘉六に犒われ御祝儀包を貰って帰って行きました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
お秀はその男に渋茶なぞ出してしばらく犒っていました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
燕師いよ/\東昌に至るに及んで、盛庸、鉄鉉|牛を宰して将士を犒い、義を唱え衆を励まし、東昌の府城を背にして陣し、密に火器|毒弩を列ねて、粛として敵を待ったり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫