浅み
あさみ
名詞
標準
文例 · 用例
この一軒屋は、その江見の浜の波打際に、城の壁とも、石垣とも、岸を頼んだ若木の家造り、近ごろ別家をしたばかりで、葺いた茅さえ浅みどり、新藁かけた島田が似合おう、女房は子持ちながら、年紀はまだ二十二三。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
そのいずれも彩糸は使わないで、ひとえに浅みどりの柳の葉を、針で運んで縫ったように、姿を通して涼しさの靡くと同時に、袖にも褄にもすらすらと寂しの添った、痩せぎすな美しい女に、――今のを、ト言掛けると、婦人は黙って頷いた。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
浅みどり、とでもいふのか、水のやうな空に、その月が浮び、林の中にも月影が、松葉のやうに一ぱいこぼれ落ちてゐる。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
浅みどりの葉の色茎の色、日の光に透くやうに見えたるに、小き花のいと繁くも簇がりて紅う咲きたる、もてあそびものめきたれど憎からず。
— 幸田露伴 『花のいろ/\』 青空文庫
妹はそんな浅みに来ても若者におぶさりかかっていました。
— 有島武郎 『溺れかけた兄妹』 青空文庫
夜のひかりはやこごるらしほそり木の枯木の枝の交らふ見れば (一三三頁)ほとほとに障子ゆるがす羽音風雀なりけりかたぶき聴けば (一三六頁)春の耕田春浅み背戸の水田のさみどりの根芹は馬に食べられにけり (一四六頁)註、三句「さみどりの」は抑※の原作に還したのである。
— 北原白秋 『文庫版『雀の卵』覚書』 青空文庫
と、私たちの小舟は小豆色のひろびろとした洲の浅みに沿って、いきれたつ蘆や薄のあいだにすれすれと横になってとまった。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
水は清く澄んで、飲むことも出来ると聞き、私は先ず手頃の朽木を汀の浅みに置いてそれに飛び移り、草鞋を濡らすことなしに充分に咽喉をうるおした。
— 若山牧水 『みなかみ紀行』 青空文庫