幻辞.com

筆つき

ふでつき
名詞
1
標準
文例 · 用例
作者は素直な筆つきで、そこに傭はれてゐる女店員の心に映じた爭議を――彼女達がその爭議によつて體驗して來たことを描いてゐる。
------------------------------------------------------- 『戰旗』『文藝戰線』七月號創作評 青空文庫
「それじゃ葬式の日まで、君の身体が持つか持たんか判らないぜ」 逸作はしばらく術無げに黙っていたが、ふと妙案のように、「どうだ一つ、さっきのお雛妓の、あの若いかの子さんでも聘んで元気づけに君に見せてやるか」 逸作は人生の寂しさを努めて紛らすために何か飄逸な筆つきを使う画家であった。
岡本かの子 雛妓 青空文庫
そこにはまたさういふモダンを取り入れて詩示することを意識した彼自らの慊厭の気持が、人を揶揄した筆つきや、どす黒い色調で観者に逆襲してゐた。
岡本かの子 花は勁し 青空文庫
やがてその男衆の持って来た宿帳へ葛岡は物慣れた筆つきで書き与えました。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
もう一包の中に臍の緒をくるんだ紙包にわたくしの生れた年月日が書いてあり、その上を更に包んである一枚の紙には幼ない筆つきで朝顔の絵が描いてあり、その肩には甲上と評点がついています。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
熱情的に書かれた手紙で、典雅な筆つきと見えた。
須磨 源氏物語 青空文庫
それは殆ど確定的なやうな筆つきであつたが、私はすぐには信じなかつた。
島木健作 東旭川村にて 青空文庫
横浜という所には似もつかぬような古風な外構えで、美濃紙のくすぶり返った置き行燈には太い筆つきで相模屋と書いてあった。
有島武郎 或る女 青空文庫