甘手
あまて
名詞
標準
文例 · 用例
お勢はこの事を不平に思ッて、或は口を聞かぬと云い、或は絶交すると云ッて、恐喝してみたが、昇は一向平気なもの、なかなかそんな甘手ではいかん。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
ところがその居酒屋の親爺なる人物が又、人気の荒い大浜界隈でも名打ての因業おやじでナカナカそんな甘手の元手喰式慣用手段に乗るおやじでない。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
「そいつが詰り盗人だったんで、下女なんてものは無知なもので、そんな甘手にさえひっかかりますよ。
— 国枝史郎 『染吉の朱盆』 青空文庫
「この根岸がそんな甘手に乗ると思うか。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
日本は同盟国だとか何とか云って、時々御世辞をつかってるが、そんな甘手にのる奴は、山登りなんかに来るもんか、全体英国と云う国は、ろくに高い山もないくせに、いやに威張って外国人を科の異なった動物あつかいにするから癪にさわる。
— 辻村伊助 『スウィス日記』 青空文庫
「いかに、汝が、懸河の弁をふるうとも、なんでそんな甘手にのろうぞ。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
」 こんがらは一笑のもとに突ッ刎ねて、「そんな甘手に乗って帰るほどなら、初めッからここへ面は出さねえ、たしかに楽屋にいると睨んで来たからにゃあ、このボロ小屋の蓆を一枚一枚引ンむいても、引き摺り出さずにゃおかねえのだ」「云わしておけば無礼な奴、おらぬといったら金輪奈落一角はいない。
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫
しかし、こういう甘手は、余人には効くかもしれぬが、世情の表裏から、戦争のかけひきまで、あらゆる人間の機微を、舐めつくしている池田入道勝入には、ちと子どもッぽい好意の押売り――見えすいた現金主義としかうけとれなかった。
— 第十分冊 『新書太閤記』 青空文庫