愛書
あいしょ
名詞
標準
great love of books
文例 · 用例
かの国の有名な画廊にある名画の複製や、アラビアンナイトとデカメロンの豪華版や、愛書家の涎を流しそうな、芸術のための芸術と思われる書物が並んでいて、これにはちょっと意外な感じもした。
— 寺田寅彦 『火事教育』 青空文庫
この異彩ある珍書は著者、解説者、装幀意匠者、製紙工、染織工、印刷工、製本工の共同制作によってできあがった一つの総合芸術品としても愛書家の秘蔵に値するものであろう。
— 寺田寅彦 『小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」』 青空文庫
私はそれを拾い上げてやる時にちらりっと見ると、その中には、「樹木崇拝の起原」と云ったような名前の本もあったが、たぶんこの老人は、あるいは商売にしろ物好きにしろ、とにかく貧しい愛書家で、しかも珍本の蒐集家に相違ないと思った。
— コナン・ドイル 『空家の冒険』 青空文庫
古本と蔵書印 本屋の息子に生れただけあって、文豪アナトオル・フランスは無類の愛書家だった。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
愛書家として聞えている割合には、その蔵書がひどく貧しく、とりわけ新刊物がまるで見えないのに驚いた客は、すなおにその驚きを主人に打ちあけたものだ。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
博士は聞えた外国文学通で、また愛書家でもあった。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
「冬晴」二絶の一は例の愛書の癖を忘れない。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
しかしメリメエの書簡集(誰かわからない女に宛てた恋愛書簡集)はいろいろの話を含んでゐる。
— 芥川龍之介 『文芸的な、余りに文芸的な』 青空文庫
作例 · 標準
彼は長年かけて収集した稀覯本の数々を、単なる所有欲ではなく、深い愛書精神に基づいて公共図書館へ寄贈することを決意した。
祖父の書斎は、床から天井まで届く書棚が壁を埋め尽くしており、そこには一冊一冊を丁寧に扱う彼の愛書家としての矜持が漂っていた。
その中世の写本は、保存状態の良さから歴代の所有者たちが並々ならぬ愛書の念を持って継承してきたことが伺える。
装丁家の仕事は、読者が手に取った瞬間に愛着を感じるような、現代における愛書趣味を刺激する意匠を凝らすことにある。
標準
favorite book (favourite)
作例 · 標準
大学時代の恩師から譲り受けたその初版本は、今でも私の書斎の特等席に置かれている、かけがえのない愛書だ。
長年の使用で表紙が擦り切れてしまったが、専門の職人に装丁を依頼してまで手元に残しておきたいほどの愛書である。
彼は世界中を旅して回る際も、肌身離さず持ち歩く数冊の愛書だけは、決してトランクの奥へは仕舞い込まなかった。
亡き祖父の遺品整理で見つかったのは、無数の書き込みと付箋が残された、彼が若かりし頃から大切にしていた愛書だった。