透き影
すきかげ
名詞
標準
文例 · 用例
そのうちに美しい後ろ姿をした一人の、非常に疲労した様子で、夏の初めの薄絹の単衣のような物を上から着て、隠された髪の透き影のみごとそうな人を右近は見つけた。
— 玉鬘 『源氏物語』 青空文庫
桜だけは避けたらいいでしょうね」 などと言って歩いているこの人は姫宮のお座敷を見ぬように見ていると、そこには落ち着きのない若い女房たちが、あちらこちらの御簾のきわによって、透き影に見えるのも、端のほうから見えるのも皆その人たちの派手な色の褄袖口ばかりであった。
— 若菜(上) 『源氏物語』 青空文庫
落ちようとする月は明るく座敷の中を照らして、薫の透き影は艶に御簾のあちらから見えた。
— 椎が本 『源氏物語』 青空文庫
御簾の向こうの黒い几帳の透き影が悲しく、その人の姿はまして寂しい喪の色に包まれていることであろうと思い、あの隙見をした夜明けのことと思い比べられた。
— 椎が本 『源氏物語』 青空文庫
美しい童女の透き影の見えるのに声をかけて、中の君へ消息を取り次がせると、褥が出され、宇治時代からの女房で薫を知ったふうの人が来て返辞を伝えた。
— 早蕨 『源氏物語』 青空文庫
しかも綾羅のように揺曳する浮き紋や透き影の、取れば消えそうでしかも厳として消えない陰影。
— 風巻景次郎 『中世の文学伝統』 青空文庫