猥歌
わいか
名詞
標準
文例 · 用例
しかしオフィリアの方は、単に狂人になってから、幼い頃乳母から聴いた――(あすはヴァレンタインさまの日)の猥歌を憶い出したにすぎない。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
」「又――」「でも、深川あたりの流し乞食の――」「平、文句がよい――巽に見えたあの白雲は、雪か、煙か、オロシャ船、紅毛人のいうことにゃ、日本娘に乗りかけて――」 お高が、口三味線で、近頃流行の猥歌を唄い出した。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
あの常軌を外れた曲馬団の楽屋裏の毒々しい色彩と、嬌声と、猥歌と、汗じみた肉襦袢の中に初めて物心づき、早くも美しき変質少女葉子を知り、恋をして来た黒吉――。
— 蘭郁二郎 『夢鬼』 青空文庫
たたたた たたたた 田の中で その素朴な猥歌に茂緒はびっくりしてしまった。
— 壺井榮 『風』 青空文庫
ゆうべ夜半過ぎ迄、そこでは猥歌の手拍子や音曲が聞え、こういう武家の住宅地にはあるまじき湯女の姿が出入りしていたという事である。
— 吉川英治 『新編忠臣蔵』 青空文庫
けれど奥深い座敷の方には変らない「買手ども」の猥歌や三絃が満ちていて、吉野にこっそり会って行く術もない。
— 風の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
食えば飽満の美味、飲めば強烈な薫酒、酔えば耳に猥歌甘楽、醒むれば花鳥また嬋娟の美女、――玄徳はかくて過ぎてゆく月日をわすれた。
— 望蜀の巻 『三国志』 青空文庫
一つ酌こう」 と、土岐左近をつかまえて、ほかの痴言猥歌もよそに。
— 婆娑羅帖 『私本太平記』 青空文庫