八百八町
はっぴゃくやちょう
名詞
標準
the whole enormous extent of Edo
文例 · 用例
草より出でゝ草に入るとは武蔵野の往時の月をいひけん、今は八百八町に家相望めば、東京の月は真に家の棟より出でゝ家の棟に入るともいふべけれど、また水の東京のいと大なるを思へば、水より出でゝ水に入るともいひつべし。
— 幸田露伴 『水の東京』 青空文庫
およそ六十年の昔、初めて江戸の海にこれを築いた人々は、これに依て江戸八百八町の人民を守ろうとしたのである。
— 岡本綺堂 『一日一筆』 青空文庫
冬じゅうに少しも雪を見ないというのは、殆ど前代未聞の奇蹟であるかのように、江戸の人々が不思議がって云いはやしていると、その埋め合わせというのか、あくる年の文久二年の春には、正月の元旦から大雪がふり出して、三ガ日の間ふり通した結果は、八百八町を真っ白に埋めてしまった。
— 雪達磨 『半七捕物帳』 青空文庫
おのれ等のような無落戸漢が八百八町にはびこればこそ、公方様お膝元が騒がしいのだ」と、彼は向き直って相手の顔を睨んだ。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫
さりとて侍が町奴の真似をして、八百八町をあばれ歩くは、いたずらにお膝元を騒がすばかりで何の役にも立つまい。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫
八百八町をあばれ歩いて、毎日毎晩喧嘩商売……。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫
舞いだしたとなると、鉄火というか、伝法というか、雪までがたいそうもなく江戸前に気短なところがあって、豪儀といえば豪儀ですが、ちらりほらりと夜の引きあけごろから降りだしたと思ったあいだに、たちまち八百八町は二寸厚みの牡丹雪にぬりこめられて、見渡すかぎりただひと色の銀世界でした。
— 献上博多人形 『右門捕物帖』 青空文庫
なにをかくそう、このいぶかしかった若|武者こそは、これぞ余人ならず、今江戸八百八町において、竹光なりとも刀差す程のものならばその名を知らぬ者のない、旗本退屈男と異名をとった早乙女主水之介だったからです。
— 旗本退屈男 『旗本退屈男 第一話』 青空文庫
作例 · 標準
八百八町あったと言われる江戸の町並みを、現代の東京に重ねて想像する。
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昔の人は江戸の賑わいを「八百八町」と表現した。
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忠臣蔵の舞台は、八百八町の隅々にまで語り継がれている。
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