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来嘗

きかつて
名詞
1
標準
文例 · 用例
彼は更に次の日の夕方生来嘗てない憤怒と悲痛と悔恨の情を湧かした。
長塚節 太十と其犬 青空文庫
二年来嘗めつくした片恋の苦痛が、今、平一郎の苦痛を体験させ、そしてその片恋の苦悩を脱却するための文学への転換を彼は同じように「救済」として平一郎に説こうと幾度も思ったことだった。
地に潜むもの 地上 青空文庫
然し彼は從來嘗てなかつた卯平の行爲に始めて恐怖心を懷いたのであつた。
長塚節 青空文庫
尤も旦那の家へ呼ばれて噺をされるといふことは生來嘗てないことで只恐れてどうもかうもいふことは出來ないのだが眞實死ぬの生きるのといふ程の決心はないのである。
長塚節 芋掘り 青空文庫
私は從來嘗て人に打明けたことがありませんでしたが、あなたにだけはお話しせねば心が濟みません」 又暫く間を措いて「どうも御迷惑なことでしたらう」 佐治君の噺は途切れた。
長塚節 教師 青空文庫
富より得る快さは會つて知らねども、貧より味ふ樂みは五十八年來嘗めつくしたり。
上司小劍 ごりがん 青空文庫
併し泥棒に強奪され、しかもそれが自分の親類から斯くの如き不心得の者の出たといふ事は、古來嘗て聞かぬことである。
内藤湖南 藏書家の話 青空文庫
春三郎夫婦は一方には文太郎夫婦の其後の苦鬪を想像して氣の毒に思ひながら、從來嘗て覺えなかつた平和な樂しい新生活に入つた。
――文太郎の死―― 續俳諧師 青空文庫