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潮鳴り

しおなり
名詞
1
標準
文例 · 用例
ここに少憩して付近の勝を探ぐり、はるかに左方|春日山の城跡を仰おいで、曠世の英傑上杉|輝虎の雄図を偲び、夕陽斜めに北海の怒濤を照すの夕闇に、潮鳴りの物凄き響きをききつつ、直江津の町へ入った。
井沢衣水 本州横断 痛快徒歩旅行 青空文庫
晃一は弟とならんで床に入ったが、荒模様になった潮鳴りが耳について、却々眠られなかった。
渡辺温 勝敗 青空文庫
私は麦酒を技いて貰ったが、凄まじい強雨と荒海の潮鳴りとに耳傾けながら、この国境の山上で味う麦酒の味はひえびえとしてそれもいい記念になるだろうと思えた。
北原白秋 フレップ・トリップ 青空文庫
谷川の音や、海の潮鳴りの音が。
北原白秋 フレップ・トリップ 青空文庫
やがて、海霧の騎行に光が失せて、大喇叭のような潮鳴りが、岬の天地を包み去ろうとするとき、そのところどころの裂目を、鹹辛い疾風が吹き過ぎて行くのだが、その風は氷のように冷たく、海霧はまた人肌のように生ぬるかった。
小栗虫太郎 潜航艇「鷹の城」 青空文庫
再びこの室は深々とした沈黙に支配されて、それまでは、耳に入らなかった潮鳴りが耳膜を打ち、駅馬車の喇叭の音が、微かに聴えてきた。
小栗虫太郎 潜航艇「鷹の城」 青空文庫
そして、灯を消した闇の中で、二人は凝っと神経を磨ぎ澄まし、何か一つでも物音さえあればと待ち構えていたが、そのうち夜の刻みは尽きて、まさに力の罩もった響が、五つ、時計から発せられたが、その刹那、潮鳴りも窓硝子のはためきも、地上にありとあらゆるいっさいのものが、停止したように思われた。
小栗虫太郎 潜航艇「鷹の城」 青空文庫
潮鳴りがして、雨を含んだ重たそうな雲が低く垂れこめ、霧はまだ港を鎖ざしている。
小栗虫太郎 地虫 青空文庫