蛭巻き
ひるまき
名詞
標準
文例 · 用例
やっと槍ヶ岳の頂、といっても槍の穂先からは、まだ蛭巻ぐらいの位置に当る、平ッたい鞍状地に到着した、槍から無残に崩壊した岩は、洪水のように汎濫している、そうしてこれが巨大なる槍ヶ岳を、目の上に高く聳えしむるために、払われた犠牲であるかと思うと、私は天才の惨酷に戦慄するのである。
— 小島烏水 『槍ヶ岳第三回登山』 青空文庫
蛭巻の辺まで突っこんで見せる。
— 国枝史郎 『剣侠受難』 青空文庫
半時ばかりの間、瞬きもせずに睨んでいたが、やがていかなる隙を見出しけん、巌も通れと突き出す槍先、和尚の胸板を微塵に砕いたと思いきや、和尚が軽く身を開いて、両の手に持った椀を合せて槍の蛭巻をグッと挟んでしまいました。
— 慢心和尚の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
しかし、小貫の鍛は良し、義元も剛気、かッと開いた口が、「下郎ッ」 と、いうと、槍の蛭巻から、斬って落していた。
— 第二分冊 『新書太閤記』 青空文庫
右手の直槍の穂には、生々しく滴るものが蛭巻まで血ぬられ、装束の片袖は、敵の太刀に斬り裂かれて、鎖肌着の肩が出ている。
— 吉川英治 『新編忠臣蔵』 青空文庫
修理が済んで、清盛が厳島に参籠していると、ある晩、御宝殿の戸が開いて美しい少年が現れ、「大明神の使いで参った者ですが、この剣をもって全国を鎮め、朝廷をお守りするようにとのお告げです」 と銀の蛭巻した小長刀を枕辺に置いて、姿を消した。
— 第三巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫
清盛は枕もとから銀の蛭巻をした小長刀を離さず、常に寝所に守り刀として置いていたが、ある夜急に消えた。
— 第五巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫
一方の槍は天堂の気合とともに走って、つづらの横を突き破り、深さ蛭巻の半ばまで入った。
— 船路の巻 『鳴門秘帖』 青空文庫