憧
憧
名詞
標準
文例 · 用例
レモンの花咲く国に憧れるのは単にミニョンの思郷の情のみではない。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
ドイツ国民全体の明るい南に対する悩ましい憧憬である。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
「夢もなお及ばない遠い未来のかなた、彫刻家たちのかつて夢みたよりも更に熱い南のかなた、神々が踊りながら一切の衣裳を恥ずる彼地へ{1}」の憧憬、ニイチェのいわゆる 〔flu:gelbrausende Sehnsucht〕 はドイツ国民の斉しく懐くものである。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
人間の運命に対して曇らざる眼をもち、魂の自由に向って悩ましい憧憬を懐く民族ならずしては媚態をして「いき」の様態を取らしむることはできない。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
トルストイやゲーテのように、中年期を過ぎてまでも、プラトニックな恋愛を憧憬したり、モノマニアの理想に妄執したりするような人間は、すくなくとも僕らの周囲にはあまりいない。
— 萩原朔太郎 『老年と人生』 青空文庫
なぜならすべて遠方にある者は、人の心に一種の憧憬と郷愁を呼び起し、それ自らが抒情詩のセンチメントになるからである。
— 萩原朔太郎 『月の詩情』 青空文庫
)いま私の心は光に憧れる、しかも私の感情は闇の中にうごめいて居る。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
ところでこの前のもの、即ち主観的な芸術家等は、人生に対して欲情し、より善き生活を夢想するところから、常に「ある所の世界」に不満し、「あるべき所の世界」を憧憬している。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫