寝釈
ねしゃく
名詞
標準
文例 · 用例
自分じゃ仏だ、仏だといいますが、寝釈迦だか、化地蔵だか、異体の知れない、若い癖に、鬼見たような痘痕面で、渾名を鍍金の銀次ッて喰い詰めものが、新床だと嗅ぎ出して、御免下さいまし、か何かで、せしめに行った奴を、おともだち、お前さんも不景気で食えねえのか、飯はないが酒はあるてって、引摺り入れた役雑とね。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
「小うるさい花が咲くとて寝釈迦かな」こういう人間は別として、「今の世や猫も杓子も花見笠」で、江戸の人達はきょうもきのうも、花見花見で日を暮らした。
— 国枝史郎 『名人地獄』 青空文庫
ねえ、ツルちゃん、戦争中は、皇大神宮に指圧療法、終戦後は、寝釈迦、お助けじいさん、一家ケン族みんな信仰しなきゃア、カンベンしてくんないんですからね。
— 坂口安吾 『現代忍術伝』 青空文庫
この話は河出書房の傑作集の中にも訳されているが、その筋は、楽天家で饒舌で酒好きの亭主が中風で寝釈迦になってしまう。
— 辰野隆 『銷夏漫筆』 青空文庫
涅槃会の日には燻ぼつた寝釈迦さんの軸をかけ、そのまへに小机をすゑて香華をそなへる。
— 中勘助 『銀の匙』 青空文庫
それを取り圍む形でやゝ遠く左寄りに眞城、達磨の山脈があり、近く右手に箱根連山があり、その中にも城山、寢釋迦山、鳶の巣山、徳倉山等の低きが相交はり、ずつと遠くには駿河信濃國境に連亙した赤石山脈が眞白に雪を被つてつらなつてゐた。
— 駿河灣一帶の風光 『樹木とその葉』 青空文庫