髪立
かみりつ
名詞
標準
文例 · 用例
そんなら、四つ手場を留めにして、小家で草鞋でも造れば可が、因果と然うは断念められず、日が暮れると、そゝ髪立つまで、早や魂は引窓から出て、城ヶ|沼を差してふわ/\と白い蝙蝠のやうにひ行く。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
細身の大小、まだ前髪立ともいうべき年ごろに、余りといえば手の冷えよう、築地まで帰るのが心もとなく、さいわい蔵前に姉の縁づいた邸があった。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
――年はよくとって十八か九、どこか名のあるお大名の小姓勤めでもしているとみえて、普通ならばもうとっくに元服していなければならない年頃と思われるのに、まだふっさりとした前髪立ちの若衆なのです。
— 旗本退屈男 『旗本退屈男 第一話』 青空文庫
おめえもあばたの先生もいっこう気がつかねえような様子だったが、あの墓の五、六間先に、子細ありげな前髪立ての若衆がひとりしゃがんでいたんだ。
— 村正騒動 『右門捕物帖』 青空文庫
自分はまだ前髪立ちの少年であるのを幸いに、女に化けて敵を釣り寄せてやろうと考えて、俊之助は姉の衣服をかりて頭巾に顔をつつんだ。
— 槍突き 『半七捕物帳』 青空文庫
左団次が前髪立ちの少年に扮して、しかも水のしたたるように美しいというのが観客の眼を奪ったらしい。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
左団次が前髪立の少年に扮して、しかも水の滴るように美しいというのが観客の眼を奪ったらしい。
— 岡本綺堂 『島原の夢』 青空文庫
前髪立ちとはいいながら、長三郎も十五歳である。
— 白蝶怪 『半七捕物帳』 青空文庫