溢
溢
名詞
標準
文例 · 用例
僕も勿論愉快が溢れる……、宇宙間にただ二人きり居るような心持にお互になったのである。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
母の推察通り、棉は末にはなっているが、風が吹いたら溢れるかと思うほど棉はえんでいる。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
今一目逢いたかった……次から次と果てしなく思いは溢れてくる。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
いひさしてお力は溢れ出る涙の止め難ければ紅ひの手巾かほに押當て其端を喰ひしめつゝ物いはぬ事小半時、坐には物の音もなく酒の香したひて寄りくる蚊のうなり聲のみ高く聞えぬ。
— 樋口一葉 『にごりえ』 青空文庫
いひさしてお力は溢れ出る涙の止め難ければ紅ひの手巾かほに押当てその端を喰ひしめつつ物いはぬ事|小半時、坐には物の音もなく酒の香したひて寄りくる蚊のうなり声のみ高く聞えぬ。
— 樋口一葉 『にごりえ』 青空文庫
不幸な結婚をした出戻りではあるがまだ三十になったばかりの美しい敏子はかなり派手な着物をすらりとした身体に着こなして魅力の溢れた挨拶をした。
— 九鬼周造 『かれいの贈物』 青空文庫
何のせいか渾身に喜びが溢れてくる。
— 九鬼周造 『祇園の枝垂桜』 青空文庫
われは狼のごとく飢ゑたりしきりに欄干にすがりて齒を噛めどもせんかたなしや 涙のごときもの溢れ出で頬につたひ流れてやまずああ我れはもと卑陋なり。
— 萩原朔太郎 『純情小曲集』 青空文庫