袋戸棚
ふくろとだな
名詞
標準
small cupboard on wall of tokonoma
文例 · 用例
――床わきの袋戸棚に、すぐに箪笥を取着けて、衣桁が立つて、――さしむかひに成るやうに、長火鉢が横に、谿河の景色を見通しに据ゑてある。
— 泉鏡太郎 『飯坂ゆき』 青空文庫
――酒は、宵の、膳の三本めの銚子が、給仕は遁げたし、一人では詰らないから、寝しなに呷ろうと思って、それにも及ばず、ぐっすり寐込んだのが、そのまま袋戸棚の上に忍ばしてある事を思い出したし、……またそうも言った。
— 泉鏡花 『鷭狩』 青空文庫
袋戸棚の障子へ、書いたもの貼っとかっしゃるのは、もの、それかね。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
元来この座敷は、京ごのみで、一間の床の間に傍に、高い袋戸棚が附いて、傍は直ぐに縁側の、戸棚の横が満月|形に庭に望んだ丸窓で、嵌込の戸を開けると、葉山繁山中空へ波をかさねて見えるのが、今は焼けたが故郷の家の、書院の構えにそっくりで、懐しいばかりでない。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
二階は八畳と六畳で、総桐の箪笥が三|棹も箝め込みになっており、押入の鴨居の上にも余地のないまでに袋戸棚が設われ、階下の抱えたちの寝起きする狭苦しさとは打って変わって住み心地よく工夫されてあった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
そこの袋戸棚から竈の下とその向う側、洗面所の上下の袋戸、物置の炭俵や漬物桶の間、湯殿と台所との間の壁の厚さ、女中部屋の空っぽの押入れ、天井裏にかけた提灯箱なぞいうものを、妻木君は如何にも慣れた手付きで調べて見せたが何一つ怪しいところはなかった。
— 夢野久作 『あやかしの鼓』 青空文庫
鶴原未亡人は立ち上って袋戸棚から洋酒の小瓶を取り出して来てふるえる手で私に小さなグラスを持たした。
— 夢野久作 『あやかしの鼓』 青空文庫
」 爺いさんはこう云いながら、蚊遣の煙の断え断えになったのを見て、袋戸棚から蚊遣香を出して取り換えて、そのままそこに据わった。
— 森鴎外 『蛇』 青空文庫
作例 · 標準
床の間の壁にある袋戸棚には、お茶道具が大切にしまわれていた。
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古民家カフェの床の間には、小さな袋戸棚がしつらえてあり、風情があった。
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母は袋戸棚の中を整理し、使わないものを処分することにした。
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