立て引き
たてひき
名詞
標準
文例 · 用例
御雛様に芸者の立て引きがないと云って攻撃するのは御雛様の恋を解せぬものの言草である。
— 夏目漱石 『野分』 青空文庫
それは衣川の役を主題としたもので、源義家と安倍貞任とが戦中に立て引きをする処、……例の、衣の楯はほころびにけりという歌の所であります。
— 谷中時代の弟子のこと 『幕末維新懐古談』 青空文庫
小さい瀬の落ち込みで、引っ掛けの立て引きをやっているのを見たばかりである。
— 佐藤垢石 『瀞』 青空文庫
大体が大阪じこみだけに、其土地性が十分出てゐるのだが、江戸風の立引に似た傾向は、安永二年に江戸へ輸入せられる前に、既に現れてゐる。
— 折口信夫 『涼み芝居と怪談』 青空文庫
逆に、女に、立引かした位におもったでしょう。
— 久保田万太郎 『三の酉』 青空文庫
もともと、荒くれた立引と、生き馬の眼を引き抜く鋭敏さと、ときには、血で血を洗う争闘さえ、辞せられない請負師をしていたことが、永田杢次には無理なのであった。
— 火野葦平 『花と龍』 青空文庫
脛を達引け、と二三度行ったわ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
新学士に是非と云って、達引きそうな朋輩はないか、と煩く尋ねるような英吉に、厭なこった、良人が手を支いてものを言う大切なお嬢さんを、とお蔦はただそれだけでさえ引退る。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫