炉縁
ろぶち
名詞
標準
文例 · 用例
」 と炉縁をずり直って、たとえば、小県に股引の尻を見せ、向うむきに円く踞ったが、古寺の狸などを論ずべき場合でない――およそ、その背中ほどの木魚にしがみついて、もく、もく、もく、もく、と立てつけに鳴らしながら、「南無普門品第二十五。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫
しかもひたりと坐直って、杯を、目ざすお京の姿に献そうとして置くのが、畳も縁も、炉縁も外れて、ずか、と灰の中へ突込もうとして、衝と手を引いて、ぎょっとしたように四辺を視た。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
) 婦人は炉縁に行燈を引附け、俯向いて鍋の下を焚して居たが振仰ぎ、鉄の火箸を持つた手を膝に置いて、(御苦労でござんす。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
親兄弟みんなたばになって、七ツのおれをいじめている、とひがんで了って、その頃から、家族の客間の会議をきらって、もっぱら台所の石の炉縁に親しみ、冬は、馬鈴薯を炉の灰に埋めて焼いて、四、五の作男と一緒にたべた。
— ――(生れて、すみません。) 『二十世紀旗手』 青空文庫
煙草盆がばらばらにこわれ土塀や板塀に無数の大小の穴があき、居酒屋の卓に罅ができ、家の炉縁がハイカラなくらいでこぼこになったころ、次郎兵衛はやっとおのれのこぶしの固さに自信を得た。
— 太宰治 『ロマネスク』 青空文庫
四畳半の茶室だが、床柱は椰子材の磨いたものだし、床縁や炉縁も熱帯材らしいものが使ってあった。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
「などと早や……」 三造は片手をちゃんと炉縁に支いて、「難有う存じます。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
) 婦人は炉縁に行燈を引附け、俯向いて鍋の下を燻していたが、振仰ぎ、鉄の火箸を持った手を膝に置いて、(ご苦労でござんす。
— 泉鏡花 『高野聖』 青空文庫