滞り
とどこおり
名詞頻度ランク #24479 · 青空 194 例
標準
stagnation
文例 · 用例
パリのガール・デュ・ノールでは誰だか知らない人が書式へいい加減のことを書いてくれてそれで万事が滞りなくすんだのであった。
— 寺田寅彦 『チューインガム』 青空文庫
そうしておもしろいことにはこのシーンの伴奏となりまた背景ともなる音響のほうはなんの滞りもなくすらすらと歌の言葉と旋律を運んで進行していることである。
— 寺田寅彦 『映画雑感(1)』 青空文庫
以前にもわしが勘定の滞りに気を詰らせ、おずおず夜、遅く、このようにして度び度び言い訳に来ました。
— 岡本かの子 『家霊』 青空文庫
晩景、留守を預るこの老番頭にあてて、津に出張中の主人から、里見氏の令夫人参宮あり、丁寧に宿を参らすべき由、電信があったので、いかに多数の客があっても、必ず、一室を明けておく、内証の珍客のために控えの席へ迎え入れて、滞りなく既に夕餉を進めた。
— 泉鏡花 『伊勢之巻』 青空文庫
畚は滞りなく底に着いた。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
逸作は四十二の厄歳も滞りなく越え、画作に油が乗りかけている。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
ただそのために君は筆の先をとぎ僕はハサミを使い、そのときいささかの滞りもなく、僕も人を理解したと称します。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
安政二年十月二日の夜は、通り二丁目の糸屋という書肆に頼まれた切付本の草稿がやっとできあがったので、妻はそれを持って往って、例によって二分の潤筆料をもらって来て、一分を地代の滞りに払い、一分で米を買って来て井戸端で磨いでいた。
— 田中貢太郎 『死体の匂い』 青空文庫