方人
かたうど
名詞
標準
文例 · 用例
すると船頭共が、「恁※惡僧が乘つて居るから龍神が祟るのに違ひない、疾く海の中へ投込んで、此方人等は助からう。
— 泉鏡花 『旅僧』 青空文庫
目の光の晃々と冴えたに似ず、あんぐりと口を開けて、厚い下唇を垂れたのが、別に見るものもない茶店の世帯を、きょろきょろと※していたのがあって――お百姓に、船頭殿は稼ぎ時、土方人足も働き盛り、日脚の八ツさがりをその体は、いずれ界隈の怠惰ものと見たばかり。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
わしは土方人足というところか。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
」 さうして、小川博士は、大和朝廷の大官たちが、しばしば蝦夷、東人、毛人などと名乗つたのは、一つには、奥羽地方人の勇猛、またはその異国的なハイカラな情緒にあやかりたいといふ意味もあつたのではなからうかと考へてみるのも面白いではないか、といふやうな事も言ひ添へてゐる。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
その食堂には、大工や土方人足などがお客であって、角帽かぶった大学生はまったく珍らしかった様子で、この店だけは、いつ来ても大丈夫、六人の女中みんなが、あれこれとかまって呉れた。
— 太宰治 『狂言の神』 青空文庫
防備隊というのは兵隊じゃない普通の地方人だ。
— 黒島伝治 『防備隊』 青空文庫
何故ならば、人口は殖える一方人智は進む一方ですから、その烈しい競争場裡において、ちょっとやそっとの知識や経験手腕では、直ぐと押しのけられたり、蹴落されるのであります。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
吾輩は敢て重い荷物を担がせられたから憤慨するのではないが、一国の生命は地方人士の朴直勤勉なる精神にありとさえいわれているのに、その地方人士の一部がかくも懦弱にして狡猾なる気風に向いつつあるのは、実に痛嘆すべき次第である。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫