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対屋

たいのや
名詞
1
標準
文例 · 用例
正面、対屋の建築は、紫式部の父、藤原為時の邸宅の一部であって、為時は今、地方官として赴任中、留守であるが、式部はしばらく中宮より宿下りして実家の此の部屋に逗留しているところ。
岡本かの子 或る秋の紫式部 青空文庫
ここは北の対屋の東の庭であった。
岡本綺堂 玉藻の前 青空文庫
わたくしは、居残っております十人ほどの青侍や仕丁の者らと、兼ねてより打合せてありました御泉水の北ほとりに集まり、その北に離れておりますお文倉をそびらに庇うように身構えながら、程なく寝殿やお対屋の崩れ落ちる有様を、あれよあれよとただ打ち守るばかり。
神西清 雪の宿り 青空文庫
わたくしは、居残つてをります十人ほどの青侍や仕丁の者らと、兼ねてより打合せてありました御泉水の北ほとりに集まり、その北に離れてをりますお文倉をそびらに庇ふやうに身構へながら、程なく寝殿やお対屋の崩れ落ちる有様を、あれよあれよとただ打ち守るばかり。
神西清 雪の宿り 青空文庫
ある邸のうちの庭に紅梅が咲いていてそれが艶に美しい色を見せているが、その庭を隔てた向こうの対屋には玉簾が下がっていてその中には人のいそうな心持がする、果たしてどんな人がいるのかその中は見るよしもないが、なかなかにそれがなつかしく慕わしい心持がするというのであります。
高浜虚子 俳句とはどんなものか 青空文庫
如才のない平中はかねてからそれに眼をつけ、巧く此の児に取入っていて、或る日此の児が本院の館へ来、母が住んでいる寝殿の、西の対屋で遊んでいるところへ行き通わして、すかさず取次を頼んだのであろう。
谷崎潤一郎 少将滋幹の母 青空文庫
さっきの所へ早くいらしって御覧遊ばせ」彼がそう云われて、西の対屋へ戻って来ると、果してあの男が簀子のところに待ち構えていて、「おゝ、何か御返事があったでしょうか。
谷崎潤一郎 少将滋幹の母 青空文庫
仏子と凡夫一 主の帳内に間ぢかく詰めている宿直たちはもちろん始終を聞いていたし、対屋や遠侍の控えにまで、清盛の声はきこえて来た。
吉川英治 源頼朝 青空文庫