無三
むさん
名詞
標準
文例 · 用例
メロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。
— 太宰治 『走れメロス』 青空文庫
南無三、橋は渡った、いつの間にか、お妙は試験済の合格になった。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
南無三宝三十銭、支出する小遣がないから払ふ訳に往かない。
— 泉鏡花 『いろ扱ひ』 青空文庫
南無三膝を立直し、立ちもやらず坐りも果てで、魂宙に浮く処に、沈んで聞こゆる婦人の声、「山田山田」と我が名を呼ぶ、※呀と頭を掉傾け、聞けば聞くほど判然と疑も無き我が名の山田「山田山田」と呼立つるが、囁く如く近くなり、叫ぶが如くまた遠くなる、南無阿弥陀仏コハ堪らじ。
— 泉鏡花 『妖怪年代記』 青空文庫
蟹五郎 南無三宝、堂の下で誓を忘れて、鐘の影を踏もうとした。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
が、一刻も早く東京へ――唯その憧憬に、山も見ず、雲も見ず、無二無三に道を急いで、忘れもしない、村の名の虎杖に着いた時は、杖という字に縋りたい思がした。
— 泉鏡花 『栃の実』 青空文庫
……南無三宝、赤蜻蛉は颯と外れた。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
このふっくりした白いものは、南無三宝仰向けに倒れた女の胸、膨らむ乳房の真中あたり、鳩尾を、土足で蹈んでいようでないか。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫