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薄墨

うすずみ
名詞
1
標準
thin India ink
文例 · 用例
私の習慣として、手紙は読んで了へば、大概棄てるし、殊に訃報は直ちに破くのであるが、此度も私は読み終るや破かうとしたが、ハツと思つて思ひとゞまり、薄墨色のインクで印刷された端書をもう一度マジ/\と見直した。
中原中也 逝ける辻野君 青空文庫
幸助五六歳のころ妻の百合が里帰りして貰いきしその時|粘りつけしまま十年余の月日|経ち今は薄墨塗りしようなり、今宵は風なく波音聞こえず。
国木田独歩 源おじ 青空文庫
をぢさんは行止りに突きあたるまで調べ盡さうといふ息込みで、煤けた紙に殘つてゐる薄墨の筆のあとを根好く辿つて行つた。
お文の魂 半七捕物帳 青空文庫
「そのほかに薄墨草紙といふ草雙紙を貸したことはなかつたかね。
お文の魂 半七捕物帳 青空文庫
草雙紙は、かの薄墨草紙で、酷い主人の手討に逢つて、杜若の咲く古池に沈められたお文といふ腰元の魂が、奥方のまへに形をあらはしてその恨みを訴へるといふところで、その幽靈がもの凄く描いてあつた。
お文の魂 半七捕物帳 青空文庫
道にさし出た、松の梢には、紫の藤かゝつて、どんよりした遠山のみどりを分けた遅桜は、薄墨色に濃く咲いて、然も散敷いた花弁は、散かさなつて根をこんもりと包むで、薄紅い。
泉鏡太郎 続銀鼎 青空文庫
左右の山々は、次第次第に、薄墨を合せ、鼠を濃くし、紺を流し、峰が漆を刷く。
泉鏡太郎 十和田湖 青空文庫
西の空は夕日の余光が水のように冴えて、山々は薄墨の色にぼけ、蒼い煙が谷や森の裾に浮いています、なんだかうら悲しくなりました。
国木田独歩 女難 青空文庫
作例 · 標準
例句