逆撫で
さかなで
名詞
標準
文例 · 用例
兄は折角素直に生ひ立つた妹の愛すべき性格を知らない他人に、猥りに逆撫でさせたくないといふ真意から、また勇吉は自分が自分とはまつたく性格の反対なこのナイーヴなロマン性の娘を兄に代つて護り育てられる資格と自信を持つたものだから歳子の授受の内容には極めて親切で緊密な了解が働いてゐた。
— 岡本かの子 『夏の夜の夢』 青空文庫
それから蜥蜴の腹を逆さに撫でるに滑らかなれど、蛇の腹を逆撫ですると鱗の下端が指に鈎る。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
(調伏――もしかしたなら) 七瀬は、こう感じると、冷たい手で、身体を逆撫でされたように、肌を寒くした。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
真暗、くらくらくろ装束で忍び込んだる恋の闇 と、手を延して、広縁の板へ触れたとき、背後から「何用でござる」 小藤次は、冷たいもので、身体中を逆撫でされたように感じた。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
闇太郎、弥蔵を解いて、片手で、癖の顎の逆撫でをやりながら、ブツブツと、口に出してつぶやきはじめた。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
順子は顔をいきなり逆撫でされたような表情のまんま、「あさってで私はいいけど」 二人が話している間に、縞ネクタイはどっかへ行ってしまった。
— 宮本百合子 『舗道』 青空文庫
「そんな話ぢやありませんよ、この二、三日、お粂の阿魔がいやにチヤホヤするんですが、萬一、萬一ですよ、一緒になつてくれとでも言はれたら、どうしませう」 そんなことを臆面もなく言つて顎のあたりを逆撫でにする八五郎です。
— 鬼女 『錢形平次捕物控』 青空文庫
新聞紙がガサガサと大きく鳴り、再び捻り軋る奇妙な音が聞こえ、その後立ち聞きする者たちの誰の神経をも逆撫でするようなドサッという音が響いた。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『チャールズ・デクスター・ウォードの事件』 青空文庫