技巧家
ぎこうか
名詞
標準
文例 · 用例
わたくしは寂しさを風の音にも掻き立てられる性分でありながら、一方わたくしには、父の勝気に母の技巧家のところも多少は混り入って、人の目にはとかく派手で、心に止まる娘であるらしい。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
この理想のない技巧家を称して、いわゆる市気匠気のある芸術家と云うのだろうと考えます。
— 夏目漱石 『文芸の哲学的基礎』 青空文庫
不幸にして僕はそれほどの技巧家でなかった。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
栖鳳の懐中時計5・2(夕) 芸術に技巧家があるやうに生活にもまた技巧家がある。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
その懐中時計をすらお上手なしに報告出来ない人は、世にも不幸な技巧家である。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
女と茶入9・6(夕) 小堀遠州といへば、茶人切つての技巧家だが、実世間の世渡りも万更ではなかつたと見えて、徳川の二代将軍秀忠にも気に入つて、茶事といへば屹度相談を受けたものだ。
— 大正六(一九一七)年 『茶話』 青空文庫
或はさうした技巧家は、その心すべてが技巧そのものになつて了つてゐるので、さうした要求は竟に起すことがなくて、すんで了ふのであらうか。
— 田山録弥 『月明夜々』 青空文庫
一七 こちらは―― 例の細工場で、シュウ、シュウと、かすかな音を立てさせながら、まるで、一個の芸術家のごとく――いいえ、どんな技巧家より、もっともっと熱心に、小さい象牙の塊に、何やら、細かな図柄を彫り刻んでいた、闇太郎だ。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫