尋常科
じんじょうか
名詞
標準
文例 · 用例
わたくしが安心もし、張合抜けもしたような様子を見て取り、雛妓は、ここが言出すによき機会か、ただしは未だしきかと、大きい袂の袖口を荒掴みにして尋常科の女生徒の運針の稽古のようなことをしながら考え廻らしていたらしいが、次にこれだけ言った。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
それで、尋常科を卒て、すぐ日本橋筋の古着屋へ女中奉公させられた時は、すこしの不平も言わなかった。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
やがて尋常科を卒え、高等科にはいると、そのふくらみは一層目立ち、安子の器量のよさは学校でよりも近所の若い男たちの中で問題になった。
— 織田作之助 『妖婦』 青空文庫
永助は尋常科を卒業しただけだが、講義録など見るので、却って商売の邪魔になった。
— 織田作之助 『婚期はずれ』 青空文庫
何でも商いをして帰って、佃島の小さな長屋の台所へ、笊と天秤棒を投り込むと、お飯を掻込んで尋常科へ行こうというのだ。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
駿介が小學校へ上るやうになつた丁度その年に、第二小學校が出來て、この方は尋常科ばかりであつた。
— 島木健作 『續生活の探求』 青空文庫
」「学校さだけは、もう少し、六年生まででも、尋常科だけでも卒業させでえと思ったのでがすが、何しろ私等は、帳面一冊買ってやんのだって、なかなか大変なのでがすからは……ほんでも、四年生までやったのでがすげっとも、手紙一本書けねえんでがすから……。
— 佐左木俊郎 『土竜』 青空文庫
熱心だったので一年もすると、巳之助は尋常科を卒業した村人の誰にも負けないくらい読めるようになった。
— 新美南吉 『おじいさんのランプ』 青空文庫
ウィキペディア
尋常科(じんじょうか)とは、学校教育法施行以前の日本の旧制学校における課程の名称。より高い上位の課程である「高等科」と対で用いられる。
出典: 尋常科 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0