涼夜
りょうや
名詞
標準
文例 · 用例
途中腰かけられ、五時間ほどして黒磯辺からは空気も高燥になり汽車もすき七時五十何分かにこちらへついたときは、田野の香いが芳しい涼夜でした。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
涼夜星が四方の桟敷にきらきらする。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
」涼夜場末の寄席のさびしさは夏の夜ながら秋げしき。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
九段坂の涼夜九段の坂の上に来て、大東京の中央に高く立つこそ涼しけれ。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集拾遺』 青空文庫
小一条のひろやかな庭園には、無数のささ流れを、自然の小川のようにひき、おちこちの泉石のほとりには、燈籠が置かれ、初夏の涼夜は、遠来の客のため、あらゆる風情と、美酒佳肴をつくしていた。
— 吉川英治 『平の将門』 青空文庫
人知れず、寝どこを抜け出し、加茂川と一天の涼夜をわがもの顔に、河鹿と共にあることが、ひそかな愉悦であったのである。
— 吉川英治 『平の将門』 青空文庫
宋江はよく晁蓋と時事を語り、また涼夜の灯火を剪っては、書窓の下にかの三巻の天書をひもどき、呉用とともにその研鑽に耽っていた。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
そして、水のせせらぐ一亭に夕蚊遣して、夜食を共にし、その後も、杯だけをお互いの前に残して、涼夜をくつろいだ。
— 婆娑羅帖 『私本太平記』 青空文庫