蔽
蔽
名詞
標準
文例 · 用例
そして詩的精神は隠蔽され、感情は押しつぶされ、詩は全く健全な発育を見ることができなかった。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
そしてこのニヒリスティックな人生観から、社会のあらゆる道義観や風俗に挑戦し、故意に人生の醜悪を描き、人間性の本能を高調し、隠蔽されたものを引っぺがし、性の実感的|卑猥を書き散らした。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
顏は雪白のガーゼに蔽はれてゐて見えないが、髮の毛は、艶をこそは失つたけれども、漆のやうな黒さで木枕から解剖臺の上に乘り餘るほど豐かだつた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
誠に晩春より初夏へかけ(ここの赤裸々となるは、夏期わずかの間に候)最も歴々と仰がるべく、夏にても、形は明確に、白雪山を埋むる今にても、こを恋人とせる小生の目には、同じ雪に蔽われながらも、この鳥形のみは粗き山の膚(元より白色)の中に、滑らかに平に浮び出で居候が、認められ候。
— 小島烏水 『雪の白峰』 青空文庫
セメント樽の中の手紙葉山嘉樹-------------------------------------------------------【テキスト中に現れる記号について】:ルビ(例)蔽われていた。
— 葉山嘉樹 『セメント樽の中の手紙』 青空文庫
外の部分は大して目立たなかったけれど、頭の毛と、鼻の下は、セメントで灰色に蔽われていた。
— 葉山嘉樹 『セメント樽の中の手紙』 青空文庫
こいつは全で空気と同じく、あらゆる地面を蔽ってはいたが、捕えるのに往生した。
— 葉山嘉樹 『乳色の靄』 青空文庫
その蓋から一方へ向けてそれで蔽い切れない部分が二三尺はみ出しているようであった。
— 葉山嘉樹 『淫賣婦』 青空文庫