類い稀
たぐいまれ
形容動詞
標準
文例 · 用例
初め彼は、あなたの徳行と類い稀れな御人格については予々お噂をうかがっていたから、ぜひ一度お目にかかって親しく敬意を表したいと考えて参上した、というようなことを言おうと思ったのであるが、どうもそれではあんまりだという気がした。
— または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊 『死せる魂』 青空文庫
定めし新聞には、部下と全人類の哀惜の中に尊敬すべき市民が逝去したとか、類い稀れな父であり、模範的な良人であったとか、その他いろんなことを矢鱈に書きたてることだろう。
— または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊 『死せる魂』 青空文庫
その時、突然、卑弥呼の頭に浮んだものは、彼女自身の類い稀なる美しき姿であった。
— 横光利一 『日輪』 青空文庫
類い稀れなる美しい布――纐纈布を作るため、夜も昼も間断なく機械は廻転されるのである。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
この化身として世直しに現れたのが、別天王とよばれる世にも類い稀れな美貌の女、これが信徒の崇敬を一身にあつめる教祖なのである。
— その三 魔教の怪 『明治開化 安吾捕物』 青空文庫
母の類い稀れな美貌にも拘らず、千列万郎は顔は醜く、セムシである。
— その三 魔教の怪 『明治開化 安吾捕物』 青空文庫
これこそ類い稀れな犯人の狡智の手段でありまして、この置き残された鈴一つに、歌川一馬先生を自殺の形で殺す時の用意がこもっていたのです」 さすが冷静な巨勢博士も、はじめて、いささか顔に感動をあらわした。
— 坂口安吾 『不連続殺人事件』 青空文庫
およびエイブラハム・ウィップル船長、類い稀な勇敢さとエネルギーをもった私掠船船長であり、いかなる実力行使の際にも先頭に立ってくれると期待された。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『チャールズ・デクスター・ウォードの事件』 青空文庫