院殿
いんでん
名詞
標準
文例 · 用例
〔雪うづまきて日は温き〕雪うづまきて日は温き、 萱のなかなる荼毘壇に、県議院殿大居士の、 柩はしづとおろされぬ。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 五十篇』 青空文庫
御院殿坂に鳴く蜩の声や邸後を通過する列車の騒音を聞くような心持がする。
— 寺田寅彦 『子規の追憶』 青空文庫
昔の御院殿坂を捜して墓地の中を歩いているうちに鉄道線路へ出たがどもう見覚えがない。
— 寺田寅彦 『子規自筆の根岸地図』 青空文庫
帰りにはやっぱり御院殿の坂が見付かった。
— 寺田寅彦 『子規自筆の根岸地図』 青空文庫
で、人通りは少し、日向の眞中を憚る處もなく、何しろ、御院殿の方へ眞直だ、とのん氣に歩行き出す。
— 泉鏡太郎 『松の葉』 青空文庫
」六 戴いたのは新しい夏帽子、着たのは中形の浴衣であるが、屹と改まった様子で、五ツ紋の黒絽の羽織、白足袋、表打の駒下駄、蝙蝠傘を持ったのが、根岸御院殿|寄のとある横町を入って、五ツ目の冠木門の前に立った。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
鶯谷を下りて御院殿を傍に見て、かの横町へ入ると中ほどの鴨川の門の前に、二頭立の馬車が一台、幅一杯になって着いていた。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
ところが荼吉尼法は著聞集に、知定院殿が大権坊という奇験の僧によりて修したところ、夢中に狐の生尾を得たり、なんどとある通り、古くから行われていたし、稲荷と荼吉尼は狐によって混雑してしまっていた。
— 幸田露伴 『魔法修行者』 青空文庫