力一杯
ちからいっぱい
名詞
標準
文例 · 用例
しかし鶯という可憐な小鳥が、真紅の小さな口を開けて、春光の下に力一杯鳴いてる姿を考えれば、何らかそこにいじらしい、可憐な、情緒的の想念が感じられる。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
」 私は、力一杯怒鳴った。
— 葉山嘉樹 『浚渫船』 青空文庫
私は、行李を運河の中へ、力一杯放り込んだ。
— 葉山嘉樹 『浚渫船』 青空文庫
メーツは、ブリッジで、涼風に吹かれながら、ソーファーに眠っていたが、起き上って来て、「どうしたんだ」「左舷に燈台が見えますが」「又、一時間損をしたな」と、メーツは答えて、コムパスを力一杯、蹴飛ばした。
— 葉山嘉樹 『労働者の居ない船』 青空文庫
――俺たちも―― 此考えを、彼等は頑固な靴や、下駄で、力一杯踏みつけた。
— 葉山嘉樹 『労働者の居ない船』 青空文庫
今度は力一杯押して見たが、ビクともしなかった。
— 葉山嘉樹 『淫賣婦』 青空文庫
渡す時に私は蛞蝓の萎びた手を力一杯握りしめた。
— 葉山嘉樹 『淫賣婦』 青空文庫
「メリヤスの新しいシャツが一枚あれば」波田は「どのくらい暖かいだろうなあ」と思いながら油と垢とでガワガワになったズボンのポケットの中で、拳固を力一杯で握り固めたり、延ばしたりした。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫