顔隠
かおいん
名詞
標準
文例 · 用例
前なる人は俯きて歩み来ぬれば、縁広き帽に顔隠れて見えざりしが、今|木の間を出でて湖水の方に向ひ、しばし立ちとどまりて、片手に帽をぬぎ持ちて、打ち仰ぎたるを見れば、長き黒髪を、後ざまにかきて広き額を露はし、面の色灰のごとく蒼きに、窪みたる目の光は人を射たり。
— 森鴎外 『うたかたの記』 青空文庫
|顔隠しをしたり皮鞋をはいたり……やはりあの方は近東の方でしょうね」「そうらしい」 と、折竹は憮然とうなずいた。
— 地軸二万哩 『人外魔境』 青空文庫
氏素姓も知れず国籍もわからぬが、姿顔といい気高さに充ち、どこか近付き難いところのある四十|恰好の婦人だと――一度|顔隠しをのぞいた部屋付女中がいうのである。
— 地軸二万哩 『人外魔境』 青空文庫
階下より仄に足音の響きければ、やうやう泣顔隠して、わざと頭を支へつつ室の中央なる卓子の周囲を歩みゐたり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
「そうかて、顔隠してやすやないの。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
質素な黒服を着て、厚くて黒い顔隠しをつけて来るように。
— The Weight of the Crown 『王冠の重み』 青空文庫
ジェシは指示通り、黒服に身をまとい、黒い水夫帽をかぶり、濃い顔隠しをつけてきた。
— The Weight of the Crown 『王冠の重み』 青空文庫
顔隠しを上げて、もっとよく周りを見たかった。
— The Weight of the Crown 『王冠の重み』 青空文庫