牆壁
しょうへき
名詞
標準
文例 · 用例
春日夫妻という牆壁の後ろにある葉子を、覗き見ようとしていろいろに位置をかえて覗こうとするにも似た心持で、事務所で春日に金を渡して別れてから、幾日かたった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
* 一時、各戸の牆壁は無くなつた。
— ――震災手記断片―― 『竹林生活』 青空文庫
勘次の監督の手は蕾の成長を止める冷かな空氣で、さうして之を覗ふものを防遏する堅固な牆壁である。
— 長塚節 『土』 青空文庫
酔と云ふ牆壁を築いて、其掩護に乗じて、自己を大胆にするのは、卑怯で、残酷で、相手に汚辱を与へる様な気がしてならなかつたからである。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
酔と云う牆壁を築いて、その掩護に乗じて、自己を大胆にするのは、卑怯で、残酷で、相手に汚辱を与える様な気がしてならなかったからである。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
もっともこれは幾分か、純粋な気象を受けて生れた彼女の性情からも出るので、そこになるとまた僕ほど彼女を知り抜いているものはないのだが、単にそれだけでああ男女の牆壁が取り除けられる訳のものではあるまい。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
ある日、中丞が来て軍隊を検閲するというので、一軍の将士はみな軍門にあつまり、牆壁をうしろにして整列していると、かの鳥がその空の上に舞って来て、脛に負っている矢を地に落した。
— 池北偶談 『中国怪奇小説集』 青空文庫
従来の牆壁を取り払うにはこの機会があまりに脆弱過ぎた。
— 夏目漱石 『道草』 青空文庫