淫獣
いんじゅう
名詞
標準
文例 · 用例
酒に酔つて人を殴打き、女の足を拝み、夜赤い四角の窓を仰いでは淫獣の如く電線を伝つて忍び込んだのも君だ、幻覚中の君であつた。
— 愛の詩集のはじめに 『愛の詩集』 青空文庫
「無益の、腕立て」 月丸は、微笑しながら――だが、その眼を淫獣の如く輝かせて、深雪の方へ、一足踏み出した。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
外題は「裁かれたる淫獣」という怖るべきものだが、内容はふざけた外題とは大ちがいのクスグリの一ツない大悲劇。
— 道頓堀罷り通る 『安吾の新日本地理』 青空文庫
眼……卵形にして斜めに付き昂奮時は火のごとく燃ゆ、この昂奮時は火のごとく燃ゆは、これを他の表現を借りますならば、発情時は熱情火のごとき動物に化するという意味の婉曲なる言い廻しなのでして、淫獣その物と化するという意味を表現したことに外なりません。
— 橘外男 『陰獣トリステサ』 青空文庫