顔ばせ
かおばせ
名詞
標準
countenance
文例 · 用例
そして顔の血潮をぬぐって見ると頬は紅を帯びて世にも美しい顔ばせに見えた。
— 寺田寅彦 『春寒』 青空文庫
当日となって行って見ると、そのわれわれの座席の前に補助椅子の観客がいっぱい並んで、その中には平気で帽子をかぶって見物している四十格好の無分別男がいたりしたので、自分の席からは舞台の右半がたいてい見えず、肝心の水谷八重子の月の顔ばせもしばしばその前方の心なき帽子の雲に掩蔽されるのであった。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
恐ろしかりし鬼三郎ぬしの御顔ばせ夜毎、日毎に頼もしく神々しく、面影に立ち優り侍り。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
前庇広く飾なき帽を被ぶりて、年は十七、八ばかりと見ゆる顔ばせ、ヱヌスの古彫像を欺けり。
— 森鴎外 『うたかたの記』 青空文庫
嬋娟たる花の顔ばせ、耳の穴をくじりて一笑すれば天井から鼠が落ち、鬢のほつれを掻き立てて枕のとがを憾めば二階から人が落ちる。
— 鼠に関する民俗と信念 『十二支考』 青空文庫
かのスミレの顔ばせを成せる花が凋落し行く頃からこの閉鎖花が出る。
— 牧野富太郎 『植物記』 青空文庫
ただその顔ばせを見せたのみで花が凋衰する。
— 牧野富太郎 『植物一日一題』 青空文庫
花世の寒いほど麗輝な顔ばせは、ようやく、驚きからホホ笑ましげに和んで――「東儀様、ご得心が参りましたか」「は、は、よく相分りました、まったくの人違いで」「他人のそら似ということもままございますから……」「面目ない失礼でござった。
— 吉川英治 『牢獄の花嫁』 青空文庫
作例 · 標準
彼の顔ばせは、どこか憂いを帯びていて、話しかけづらい雰囲気だった。
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厳しい交渉の場でも、彼女の顔ばせは微動だにせず、冷静さを保っていた。
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初めて会った時の社長の顔ばせは、威厳があり、少し近寄りがたい印象を受けた。
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