磽
磽
名詞
標準
文例 · 用例
彼はいかにして砂地を田園に化せしか、いかにして沼地の水を排いしか、いかにして磽地を拓いて果園を作りしか、これ植林に劣らぬ面白き物語であります。
— 信仰と樹木とをもって国を救いし話 『デンマルク国の話』 青空文庫
」 木戸から、寺男の皺面が、墓地下で口をあけて、もう喚き、冷めし草履の馴れたもので、これは磽※たる径は踏まない。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
此瀧を過ぎて小一町、道のほとり、山の根の巖に清水滴り、三|體の地藏尊を安置して、幽徑磽※たり。
— 泉鏡花 『逗子だより』 青空文庫
蜀道磽※として轉た世は嶮なるかな。
— 泉鏡太郎 『魔法罎』 青空文庫
山逕の磽※、以前こそあれ、人通りのない坂は寸裂、裂目に草生い、割目に薄の丈伸びたれば、蛇の衣を避けて行く足許は狭まって、その二人の傍を通る……肩は、一人と擦れ擦れになったのである。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
下に、絶壁の磽※たる如く、壁に雨漏の線が入つた処に、すらりとかゝつた、目覚るばかり色好き衣、恁る住居に似合ない余りの思ひがけなさに、媼の通力、枯野忽ち深山に変じて、こゝに蓑の滝、壁の巌、もみぢの錦かと思つたので。
— 泉鏡花 『二世の契』 青空文庫
火を揚げ煙を噴いた車の中に、炎の搦んだように腰の布が紅に裂けて、素裸であろう、黒髪ばかり蓑のごとく乱れた、躯をのせた、輻が軋り、轍が轟き、磽※たる石径を舞上って、「あれあれ浅間山の煙の中へ火の尾を曳いて消えて候よ、六部どの。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
馬二頭が、鼻あらしを霜夜にふつふつと吹いて曳く囃子屋台を真中に、磽※たる石ころ路を、坂なりに、大師|道のいろはの辻のあたりから、次第さがりに人なだれを打って来た。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫