韻鏡
いんきょう
名詞
標準
文例 · 用例
けれども、古くから日本に用いられている『韻鏡』という書物がありまして、これは古代の支那語の音を、日本の五十音図と同じ原理で、最初の子音の同じものは同じ行に、終の音の同じものは同じ段に並べて図にしたものですから、これによっても、古代支那語の音は或る程度まで知られるのであります。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
さて同じ仮名の甲乙二類に属する万葉仮名の中、漢字音によって日本の音を写したものを集めて、『韻鏡』などによってその古代支那音を考えて見ると、甲類に属するものと、乙類に属するものとの音の上の違いは、まず支那の韻の違いに当ります。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
また、どちらも同じ韻に属するものもありますが、その場合には、多くは『韻鏡』における等位が違います。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
磨光韻鏡等の著者で、京都の了蓮寺、大坂の伝光寺に住してゐた。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
此の字音のことは洵に困難な問題でありまして、古い所の、古いと云つても是れは十八世紀ではありまするが、僧|文雄の「麿光韻鏡」から以來、本居の「漢字三音考」と「字音假名遣」、文政中の太田全齋の「漢呉音圖」、現存して居られる木村正辭先生の「漢呉音圖正誤」、先づ斯う云ふやうな系統で、字音の研究がしてある。
— 森鴎外 『假名遣意見』 青空文庫
学は仏、儒、老、荘、国典等に渉りしが、就中、唯識、六国史、万葉集、古今集、韻鏡等に精通せり。
— 與謝野禮嚴 『禮嚴法師歌集』 青空文庫
此の支那の三十六字母は韻鏡の基となつたものであつて、音韻學は勿論支那自身に於ても漸次に發達して來ては居つたが、梵語學が入つてから、初めて明確になつたので、日本も同樣である。
— 内藤湖南 『平安朝時代の漢文學』 青空文庫
多分唐代に留學した日本僧が、彼邦で梵語學によつて支那の反切を整理し、三十六字母、開口、合口等のやり方、即ち後の韻鏡學の基礎が定められた状態を呑み込んで來て、其法を日本語學に適用したのであらう。
— 内藤湖南 『平安朝時代の漢文學』 青空文庫